「体験型イベント」を通じたコミュニティマーケティングが高まってくる気運

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(出所 SOFINA beaute)

花王が化粧品ブランド「ソフィーナ」を売り込むため、「なるほど!ソフィーナ」と題したイベントを9月から全国の駅や総合スーパー、ドラッグストアなどにコーナーを設け、人海戦術で4万人の消費者に直接説明を開始している。

■花王ソフィーナ ソフィーナボーテ 体験イベント
http://www.sofina.co.jp/beaute/experience/event/

ソフィーナの商品開発の背景にある研究データの紹介や皮膚の状態の測定、商品試供などの体験会を実施してブランドイメージも刷新し、販路拡大や顧客開拓につなげるとのことだ。

電通企業広報戦略研究所が調査した「企業魅力度調査」結果によれば、「企業の魅力度をどのような経路からの情報で感じますか」という質問に対し、「番組や記事」「企業が直接発信する情報」などの「メディアを通じて」魅力を感じるのが54.4%に対し、「商品・サービスを直接体験して」「社員・店員などを通して」といった「リアルな体験を通じて」魅力を感じるという生活者も45.6%に上っているという。

これらをみると情報戦のみならず生活者における「体験」が重要になってきていることは明白だ。花王がメディアを通じた戦略だけでなく、体験も含めたPR戦略にチカラを入れ始めたのは、世の中の流れといえる。

そもそも「PR」とは何だろうか。PRとはパブリック・リレーションズの略語で、アテネで紀元前6世紀頃に修辞学の研究として開始されたと言われている。そして80年前にこの職業を確立させたのが「PRの父」と呼ばれるエドワード・バーネイズ。心理学者を叔父にもつ彼は著書「Propaganda」にてマスメディアによる世論形成の手法を記した。

バーネイズは「イメージこそが重要であり、そのイメージは工夫次第でいくらでも作り出すことが出来る」という思想のもとに数々の世論操作を行った人物として知られている。

・精肉業者の依頼を受け、ベーコンが売れるように「ベーコンは健康に良い」と医者のコメントを紹介しベーコンが飛ぶように売れた。

・タバコメーカーの依頼を受け「タバコを吸って痩せよう」「女性がタバコを持つ姿はたいまつを掲げた自由の女神だ」とアピール、タバコを女性解放の象徴と位置づけ、有名女優らに歩きタバコでニューヨークを行進させた。さらに、そのタバコのパッケージが緑色だったため、緑色の洋服を流行らせ、そのタバコが大人気に。

しかし、いまや大量の情報が流れている。ベーコンが健康に良い、タバコを吸って痩せる、などというPRでは、とても拡販することは難しい。世論操作などはかなり難しい。PR側が発表する情報を否定してしまうことになる、説得力ある正しい情報にすぐに触れることが出来るからだ。

そして、あまりにも情報が大量に流れていることで、ほとんどの情報は逆に目に入りにくくなってきている。だからこそ、PRにおいて「直接の体験」が重要になってきているのだろう。

例えば昨年、プジョーは国内では初となるオーナー向けイベント「ライオン・ミーティング」を開催している。

■PEUGEOT LION MEETING 2015
http://web.peugeot.co.jp/peugeot-plm2015/

一般的に、ヨーロッパではどんな町にも広場があって人々が集うことに抵抗がなく、コミュニティマーケティングを行う土壌があると言われている。一方で、日本は元来、コミュニティが内向的なため、こうしたイベントには不向きだった。

デジタルメディアが浸透した事で、情報が拡散し、疑似体験できる場が広がった。疑似体験した後なら、リアルな場、つまり外交的な場に行こうという気持ちになるだろう。たとえ少数でも体験をしてもらうことで、その体験がデジタルメディアを通じて拡散するのであれば、費用対効果は高まる。日本でもこれからコミュニティマーケティングが広がることは間違いない。

この機会にPRについて知ろうという方には電通が発表している「What is PR?(from Dentsu PR)」というサイトがまとまっていて便利だ。

■What is PR?(from Dentsu PR)

また、いま起こっている出来事は、広告代理店等が出しているレポート等を読むと興味深い事例がたくさん掲載されている。電通でいえば、このレポートがオススメだろう。

■ヒトコトトレンド2016「電通PRヨムヨム」

PRする側の理論を知る事で、メディアの消費者の立場から、メディアを使いこなす「行動する利用者」になれる。行動する利用者は、体験を重視していくことだろう。

サンフランシスコで行われた「EXPERIENTIAL MARKETING SUMMIT 2015」でのマクドナルド社のセッションでは「見たことの20%しか人は覚えられないが、体験したことは80%覚えていられる」ということが語られている。「百聞は一見に如かず」から「百見は一体験に如かず」という時代がデジタルメディアの浸透により、日本でも広がろうとしている。

(文責 岡本彩 おかもとあや)